深い知識あってこそはじめて意味がある浅い知識。
今、一緒に仕事をしているアシスタント君がいる。
今の自分に不安があるらしく、ものすごく勉強熱心だ。
毎日毎日質問攻めにされていて、なるべく教えるようにしているが、どうも質問の内容が的外れだ。そんな彼は人一倍仕事が遅い。理由は与えられた仕事を考えすぎて仕事が始められないらしい。
配線の結線をお願いすると、
「この圧着ペンチはいままで僕が使っていたものと違う。これではこの端子は圧着出来ない」という。
僕は「この圧着ペンチはコンパクトで軽いものを今回買ったんだ。この端子に合うものを買ったから使えるよ」と言うと、
「いや、この端子はいつも使っている専用の圧着ペンチじゃないと合わないはずです。その圧着ペンチではやりません」ときた。
彼には悪気はない。自分の知識を僕に一生懸命アピールしてるし、仕事もまじめだ。ただまじめすぎるのか、こんなペースで仕事が始まらない。
そんな彼は、今の仕事の1%も覚えてないのに、その周りの仕事のことをいろいろ質問する。しかし大雑把にすら理解しない。今の仕事を理解してないから周りの仕事の理解が出来ないのだ。派遣社員の彼は、つぶしが効く様にいろいろなことを吸収したいのだと言う。実際に今の仕事の周りの知識も浅く広く知っておくとユーザーとの会話にも役に立つし、ハッタリにもなる。
その気持ちはわからなくも無いが、実際に今の仕事を覚えてくれないと、帰ってもらうことになってしまうし、今の仕事を覚えない限り、付帯の仕事の事も覚えられないのだ。
以前CGの仕事をやりたくてシェードを買い、勉強して就職を試みたが、受からなかったと言っていた。どの程度勉強したのか聞いてみると、自分で入門書を見ながら、入門書に載っているものを作っただけだそうだ。それが仕事で使えるわけも無い。何も知らないよりはマシといった程度であろうか。むしろ何も知らない人のほうが会社としては使い勝手が良かったりする。
結局彼はいろいろな仕事をやってきたが、どの職種においても、スペシャリストの知識ないのはもちろん、言葉を覚えているだけで「知っている」などという、一番たちの悪い人に仕上がってしまった。
仕事も遊びもそうだが、一生懸命やらないともったいない。
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