出来る人には出来ない人の気持ちが解らない。
あることを出来る人には出来ない人の気持ちが解らない。こんなことを、昔工事責任者になりたての頃よく指摘された。確かに解らない。経験がモノをいう部分の話ならばわかる。例えばサーキットを走り、昔は1週1分30秒で走っていたが練習して、今は1分ジャストになったとする。で、この時に1分30秒でしか走れない人の気持ちは痛いほどわかる。そういった話ではない。誰に教わったわけでもなく、気がついたら自分にとって当たり前になっていた一般的な知識。例えば「ねじを回して締めることが出来る」など。
これについては結構悩んだが、結局それを出来ない人の気持ちは解らない。じゃあどうするかというとそういう人もいるということを理解するしかない。僕は頭のいい人間ではない。世間では真ん中よりは下に位置する人間だ。そういった意識があるので、「なんで俺でも判ることがわからないのか?」といつも思ってしまう。いろいろな人に接していると、頭のいい人にもきりがないが、馬鹿にもきりが無いということを結構感じる。これは実話なのだけど、ドライバーを渡して、ビス止めしてある箱のふたをあけてくれと頼む。彼はどっちに回すと緩むのか解らないという。僕は、ちょっとびっくりしたが、「ふつうのネジは右に回すと締まって左に回すと緩むんですよ。」と教える。そうすると彼は、ネジを締める方向に回そうとした。左だよ!というが、左ですよね!と言いながら彼はネジを右に回す。よくよく聞いてみると、右回り、左回りというのがそもそも彼には理解できなかったらしい。ネジの頭をみて12時の位置から考えると、右回りは右に回すが、6時の位置で考えると、ある意味左に回るのだ。なるほどと思って締めるときは時計回り、「の」の字を書く方向だよ。と教える。そうすると今度は締めるときと緩めるとき、どっちが時計回りだか覚えられないという。普通に4大を卒業した今年29歳の人です。一年たった今も、彼はどっちに回すとネジが緩むかはっきり解っていない。ねじを回すことが「出来ない」ひとの気持ち。やっぱり僕には理解出来ない。ただ、こういう人もいるという事を理解することが、僕にとっての出来ない人の気持ちを理解するということになるのかな。
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